source_media: 朝日新聞デジタル source_title: 「中傷の証拠」SNS画像偽物 木村花さんの母親側、捏造見抜けず提出 「投稿者」が逆提訴、30日判決

本文: 参照ニュース:「中傷の証拠」SNS画像偽物 木村花さんの母親側、捏造見抜けず提出 「投稿者」が逆提訴、30日判決(朝日新聞デジタルより引用)

「手元にあるそのスクリーンショット、法廷で本当に通用すると思いますか?」

もしも身に覚えのない誹謗中傷の「犯人」に仕立て上げられ、損害賠償を請求されたらどう感じるでしょうか。逆に、自分が受けた凄惨な中傷被害を訴えるために提出した証拠画像が、実は第三者によって精巧に作られた偽物だったとしたら――。

上記に挙げた報道は、まさにその悪夢が現実のものとなった極めて衝撃的な事例です。SNS上で亡くなった女子プロレスラーの母親側が、中傷を理由としてある人物に損害賠償を求めた訴訟において、証拠として提出されたツイート(現X投稿)のスクリーンショットが、実際には存在しない投稿を捏造した画像であった可能性が極めて高いことが判明しました。結果として訴えられた側が「無実であるにもかかわらず加害者に仕立て上げられた」として逆提訴に踏み切るという、法体制をも巻き込んだ極めて深刻な事態に発展したのです。

この裁判例が突きつけた最大の教訓は、「スマートフォンの画面を撮影した画像やスクリーンショットは、法的な証拠として極めて脆い」という冷酷な現実です。

■ エンジニアの目から見た「スクショ改ざん」のあまりに低いハードル

Web技術やサイバーセキュリティの領域に身を置くエンジニアであれば、誰もが知っています。Webブラウザに表示されている文章やユーザー名、投稿日時を書き換えるのに、高度なハッキング技術など一切不要であることを。

パソコンのキーボードで「F12」キーを押せば、ブラウザ標準の「要素検査(デベロッパーツール)」が立ち上がります。そこに並ぶHTMLタグのテキストノードをダブルクリックするだけで、特定のアカウント名や過激な中傷テキストを、わずか数秒で任意の文字列へと改ざんできてしまうのです。それを画面キャプチャすれば、あたかも本人が投稿したかのような画像が一瞬で完成します。

さらに近年では、生成AI技術の飛躍的進化がこの問題を一段と深刻化させています。ピクセル単位での不自然な境界線の補正や、フォントのレンダリング、JPEG圧縮ノイズの模倣までがAIによって自動処理され、従来の目視はおろか、初歩的な画像解析ツールですら痕跡を見抜くことが極めて困難になりつつあります。既存の法制度や裁判実務は長らく「紙の書証」を前提として組み立てられてきましたが、複製と改変がノーコストで行えるデジタル空間において、単なる画像データはもはや「真実を証明する力」を失いかけているのです。

■ SUIネットワークと暗号学的ハッシュが担保する「不可逆な真正性」

では、この崩壊したデジタルの信頼性をどう再構築すべきでしょうか。私たちが開発・運営する「ProofBase」では、この課題に対して暗号技術とブロックチェーンのアーキテクチャを用いたアプローチを採用しています。

ProofBaseが採用している技術的核心は、「暗号学的ハッシュ関数」によるデータの不可逆な要約と、それを分散型台帳へ刻み込むプロセスです。保存対象となるデータ(HTMLの元データやメタデータ、画像バイナリ)から計算されるSHA-256などのハッシュ値は、元のデータが1ビット、1ピクセルでも異なれば、まったく別の文字列へと不可逆的に変化します。

さらに、ProofBaseの基盤ネットワークとして「Sui」を採用しているのには、証拠保全において決定的な技術的理由があります。多くの従来型ブロックチェーンが口座残高の遷移を記録する「アカウントベース」であるのに対し、Suiはあらゆるデータを独立した「オブジェクト」として直接オンチェーンで扱う「オブジェクトベース」のデータモデルを持っています。

この特徴により、証拠データひとつひとつを独立したデジタル資産(オブジェクト)として定義し、「誰が」「いつ」「どのようなURLや投稿内容から」生成したデータであるかを、所有権や権限のスコープとともに明確かつ安全に固定できます。また、Suiの持つ高い並行処理能力と低遅延なファイナリティ(即時確定性)は、急激に炎上・拡散し、数分後には削除される恐れのあるSNS投稿を、ミリ秒単位のタイムスタンプとともに確定的に保全する実務要件に完璧に合致します。中央集権的なサーバーに保管された画像とは異なり、世界中に分散されたバリデータによって合意形成された記録は、いかなる管理者であっても後から書き換えることができません。

■ 技術で「真実」を守るという決意

スクリーンショットが改ざんできるからといって、被害を受けた人が泣き寝入りを強いられたり、逆に身に覚えのない罪を着せられて社会的に抹殺されたりするような世の中を、私は技術者として看過することはできません。

法と規制が急速なテクノロジーの進歩に追いつけない狭間の時代だからこそ、エンジニアリングが法を補正し、正義を担保する防壁にならなければならないと信じています。「その情報は、その日、その瞬間に、確かに存在した」という事実を、誰も疑うことのできない数学的・暗号学的な根拠として固定化する。それこそが、ProofBaseを立ち上げ、私たちが日々コードを書き続ける理由です。

悪意による捏造に脅かされることのない、確かな真実が守られるデジタル社会の基盤を、これからも技術の力で切り拓いていきます。

もし少しでも不安があるなら、 “あとから疑われない形で記録を残す”という方法を一度確認してみてください。