source_media: 読売新聞 source_title: デマや誹謗中傷がSNS上で飛び交った沖縄知事選挙、AI作成とみられる玉城デニー氏への批判的動画も拡散

参照ニュース:デマや誹謗中傷がSNS上で飛び交った沖縄知事選挙、AI作成とみられる玉城デニー氏への批判的動画も拡散(読売新聞より引用)

デジタルデータの信頼性は、今、崩壊しています。

私たちはこれまで、画面に映し出された画像や動画、テキストのスクリーンショットを「客観的な事実」として受け取ってきました。「見たままを信じる」という素朴な前提が、コミュニケーションや意思決定の土台を支えていたからです。しかし、その前提は完全に過去のものとなりました。

読売新聞が報じた沖縄知事選挙をめぐる事態は、その危うさを象徴しています。選挙戦の最中、SNS上ではAIによって作成されたとみられる候補者への批判的な動画や、事実と異なる文言を付与したポスター風の捏造画像が大量に拡散されました。中には過去の無関係な発言を切り取って別の文脈にすり替えたものや、実在しない主張をあたかも本人が発言したかのように見せかけるコンテンツまで存在し、陣営側が打ち消しや反論に追われる事態となりました。

問題の本質は、悪質なデマが「一度拡散されてしまえば、仮に元の投稿が削除されたとしてもネット上に残り続ける」という点、そして「どれが本物でどれが偽物かを一般のユーザーが見分ける術を失いつつある」という点にあります。民主主義の根幹である選挙の場においてすら、デジタルの情報空間はこれほどまでに脆弱です。

エンジニアの視点から言えば、画面上のデジタルデータを改ざんすることは、専門知識すら不要な日常の操作にすぎません。

例えば、Webブラウザに標準搭載されている「要素検査(開発者ツール)」を開けば、WebサイトやSNSのHTML構造は数秒で書き換えることができます。実在するアカウントの投稿文面面面脈、投稿日時、返信、いいねの数に至るまで、手元の操作だけで好きな文字列に置き換え、それをキャプチャすれば、一見すると完璧な「発信の証拠」が完成します。URLが表示されていようと、アイコンが本物であろうと、クライアント側でレンダリングされた画面のスクリーンショットには、技術的な証明力が一切ありません。

さらに深刻なのが、生成AIによるピクセル単位の捏造です。昨今の画像生成・動画生成モデルは、照明の当たり方や肌の質感、背景のボケ味に至るまで、人間の視覚では人工物と見分けがつかないレベルで整合性を保った偽画像を生成します。過去の映像の一部を抽出し、音声合成モデルで生成した声を重ね合わせれば、言ってもいない言葉を喋る「動かぬ証拠風の動画」を誰もが数分で作成できてしまいます。

「画像があるから」「スクショが残っているから」という理由で事実を認定できた時代は、完全に終わったのです。

このままデジタルデータの真正性を担保する仕組みが社会に根付かなければ、二重の悲劇が生まれます。一つは、悪意を持って作られた偽情報によって誰かの名誉や社会的信用が理不尽に奪われること。そしてもう一つは、不都合な真実を突きつけられた側が「それはAIで作られた偽造スクショだ」と強弁し、正当な告発や事実関係の追及すら無効化されてしまうことです。

この深刻な「信用の空白」を埋めるために、私たちはデジタル証拠保存サービス「ProofBase」を設計しました。

ProofBaseでは、データの改ざん耐性と透明性を極限まで高めるため、インフラとしてレイヤー1ブロックチェーンの「SUIネットワーク」を採用しています。ウェブ上の投稿や撮影データを取得した瞬間、そのデータそのものから不可逆な暗号学的ハッシュ値(元のデータから一意に算出され、1ビットの改変でも全く異なる値になる計算値)を生成し、即座にブロックチェーン上へトランザクションとして記録します。

なぜSUIなのか。その理由は、SUI独自のアーキテクチャである「オブジェクトベース」のデータ管理モデルにあります。

一般的なブロックチェーンはアカウントごとの残高や状態をシーケンシャルに管理しますが、SUIではすべてのデータが固有のIDを持つ独立した「オブジェクト」として扱われます。これにより、保存対象となる証拠データ一つひとつを完結したデータ構造としてカプセル化し、そのメタデータ(作成日時、元のURL、取得状態など)を直接オブジェクトに紐づけて不変のままチェーン上に配置できます。

さらに、SUIの並列トランザクション実行エンジンにより、従来のブロックチェーンが抱えていた遅延や高額なガス代の問題を排除し、ミリ秒単位での高スループットな確定処理を実現しています。ウェブ上の情報は、投稿されてから削除されるまでの時間が極めて短いケースが少なくありません。消される前に瞬時に、かつ安価に不変の台帳へハッシュ値を刻み込める性能が不可欠だったのです。

ブロックチェーンに刻まれたハッシュ値と、手元にある元データが完全一致することを示せば、「そのデータがその日時にその形で確かに存在し、以後に1ピクセル、1文字たりとも手が加えられていないこと」を、数学的・論理的に証明できます。そこには運営者の恣意的な判断も、プラットフォーマーの気まぐれも介入できません。

テクノロジーが進化し、あらゆる情報が疑わしく見える時代だからこそ、「客観的な事実の錨(いかり)」をデジタル空間に下ろす技術が必要です。誰かを陥れるための捏造も、事実をなかったことにする隠蔽も許さない。淡々と、冷徹に、しかし誠実に「起きたこと」の痕跡を守り続けるインフラを、これからもエンジニアとして作り続けます。

【ProofBase案内】 もし少しでも不安があるなら、 “あとから疑われない形で記録を残す”という方法を一度確認してみてください。